2022年11月20日 東京 ベルサール飯田橋駅前

会場外観写真
ベルサール飯田橋駅前において、活況のうちに行われました。

大会長ご挨拶

清水雄一郎
第13回日本メタルフリー歯科学会学術大会大会長

大会長

謹啓 早秋の候、皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、本学会の学術大会は、一昨年はコロナ禍により中止となり、昨年はオンラインでの開催となりました。多くの会貞の皆様が、未だ収まらない新型コロナウイルス対策に苦慮されていることと存じます。
しかし、北米で学会に参加してみると、新型コロナウイルスのリスクを考慮しつつも、ほとんどの人がマスクを装着せず以前と変わらぬ日々を過ごしていることに驚きます。
我が国においても、少しずつ日常を取り戻す努力をし始める時期に来たと考え、本大会をオンラインではなく講演会場にて行うことを決めました。

会員が-堂に会しての開催は、第11回大会以来3年ぶりとなります。
日本での感染対策を考え、講演中はマスクの着用をお願いしつつ大会を実行していく所存です。一方で、なるべく多くの方に安心して参加していただけますよう、初の試みとして、講演をビデオ録画し後日オンデマンド参加を可能とする予定です。
遠方の会員の方、当日のご都合が付かない方も、是非オンデマンドにてご参加くださいますようお願いいたします。

本学術大会では、日常のメタルフリー臨床、医科歯科の医療連携、最新のアレルギーに対する考え方までを幅広く取り扱ってまいります。ご参加の皆様が「メタルフリー歯科学会に入っていて良かった」と感じていただけるよう、学術大会の成功に向け精一杯努力いたします。
当日は、各分野で活躍する先生方の講演、また、熱意を持った会貞同士の交流によって、本学会のさらなる発展につながることを期待しております。
多くの会貞の皆様のご参加、企業の皆様の協賛を心よりお待ち申し上げます。

理事長ご挨拶

第13回 日本メタルフリー歯科学会学術大会に寄せて
本間憲章 日本メタルフリー歯科学会理事長

理事長

「共に歩むメタルフリー歯科」という大会テーマを掲げて、3年ぶりに会員同士が集う事が出来て喜ばしい限りです。
歯科医療というのは、患者と向き合い、会話や表情から気持ちを感じ取って治療する事の重要性は、誰しも納得できることでしょう。学術大会では各講演も演者との face to face で聞く辛ができ、共に学ぷ者同士が知った顔に出会えるのも重要で刺激にもなります。

新型コロナ感染に対する様々な考えがあると思いますが、海外諸国をみてみますと、新型コロナウイルスと共存しながら今までの生活を取り戻し始めているように思います。
新型コロナウイルスに関しての考えや、ワクチン接種は各個人によって異なる考えの自由があります。なるべく多くの方に安心して参加して頂けますよう、初の試みとして、講演をビデオ録画し、後日オンデマンド参加可能とする案も見事な発想で清水雅一郎大会長に感謝申し上げます。

メタルフリー歯科という言葉は、この10年程の間に、かなり我が国にも浸透してきましたが、金属アレルギー患者の増加のみならず、これからは金属価格の上昇やCAD/CAM技術の発達により、臨床家にも大きな変化が起こっています。他方、3年にも及ぶコロナ禍やインターネットやスマホでの情報が溢れる環境下で、国民の生活にも大きな意識変化をもたらしました。

歯科医療では、否応なく口腔内のメタルフリー化が進むと思います。「保険診療で出来るメタルフリー修復治療」という書籍が出版されて、より身近に感ずることも出来る様にもなりました。

今回の学術大会の演者は、実際、先端の歯科治療を沢山の患者さんに施し、いわば臨床家として成功している先生方の講演が聴ける良い機会になりました。これらを受講して、自らの臨床に役立ててほしいと思います。更に特別講演では、「皮庸アレルギー診療の新しい流れ」と題し東京都済生会中央病院院長でおられる海老原全先生にお願いしています。

メタルフリー歯科を学べる本学術大会から多くを学んでいただきたいと思います。

大会長講演

患者との信頼を築くラバーダムテクニック
清水雄一郎 Shimizu Dentat Clinic院長(東京都練馬区開業)

大会長講演 ラバーダムテクニックは、実際の修復処置に先だって行う前準備である。
メタルフリー歯科治療を成功に導くにあたり、ラバーダムが役に立つ。
舌、頼粘膜を圧排することで術野を明瞭化し、唾液の侵入を防ぎ、湿度を抑えることで、根管治療や接着修復を確実なものにすることができる。

術者側へのメリットが強調されがちなラバーダムであるが、患者へもたらされるメリットも多くある。
口腔内よりメタルを除去する際のバリアとして働き金属と粘膜の接触を最小限に抑えることができる。また、舌や口腔粘膜の保護も重要な役割である。
実際、治療終了後に患者の意見を聞いてみると、「口の中に水が落ちてこないのでとても楽だった」「守られている感じがあって安心して治療を受けられた」と言った前向きな感想を良く耳にする。

しかし、ラバーダムの必要性は理解しているが、学生以来学ぷ機会が少ないため実際の臨床での使用に踏みきれない先生方も多いのではないだろうか。
本講演では、ラバーダムの基本を復習すると同時に、保存修復処置におけるラバーダムの重要性に関して、臨床の視点から解説をする。

講演風景

略歴

2002年 日本歯科大学歯学部卒業
2009年 UCLA歯学部 Advmced Educationin General Dentistry プログラム修了
2010年 UCLA歯学部 Restorative Dentistry プログラム修了
2016年 Shimizu Dental Clinic 開設
現在に至る

所属学会

日本メタルフリー歯科学会常任理事
The Academy of R.Ⅴ.Tucker Gold Study Clubs 認定メンバー・日本支部連絡役
The American Academy of Gold Foil Operators 準メンバー
Academy of Operative Dentistry メンバー

一般講演1

予知性の高い歯内療法
~診断と無菌的処置の必要性、現在のエンドの潮流~
濱田泰子 初台はまだ歯科・矯正歯科院長(東京都渋谷区開業)

濱田泰子 先生

昨今のメタルフリー補綴修復はデジタル化、材料材質の変化など目覚ましい発展がある。また患者様の要望もメタルをセラミックに替えたいなどと審美的要求が高まってきている。
日常臨床において、メタルフリー治療を選択していく機会も多くなっているが、既存の補綴物を除去し、再補綴を行う場合などに根管治療を行うかどうかの判断は悩むところであろう。
病変がレントゲン上で確認できるケースや症状のあるケースはともかく、病変を認めないケースなどでほ根管治療が必要かどうかの判断をしなければならない。
また、その際的確な根管治療が行われなければ、治療は失敗し、再度補綴物を除去し再根菅治療を行うことを余儀なくされ、それが繰り返されれば、残存歯質量が減少することで破折抵抗が減弱し、いずれ歯根破折を起こして抜歯となってしまう。

このようなことを起こさず、歯牙を長期的に保存するという患者利益に応えるためには、確実な診断と意思決定、およびルールに基づいた精度の高い根管治療を行うことが非常に重要である。

そこで本講演では、日常的に歯内療法のみを専門として臨床を行なっている立場から以下の項目について論じたいと思う。

・診断と意思決定 ~当該歯牙保存の可否の判定、歯牙の状況による根管治療の成功率の違い、根管治療介入の必要性の判断と意思決定
・無菌的処置の重要性 ~守られるべき根管治療のルール、無菌的処置環境の構築
・現在の根管治療の潮流 ~歯内療法専門医の臨床、機械的拡大、根管内洗浄、貼薬、根管充填の要点、根管治療後に補綴治療を行う時期について

明日からの臨床の一助としていただけると幸いである。

講演風景

略歴

2005年 日本歯科大学歯学部歯学科卒業
2010年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了
2010年~2013年 焼津市立総合病院歯科口腔外科
2014年 初台はまだ歯科医院 開院
2021年 Dental Salom Igeta 開設
現在に至る

所属学会

PESCJ認定医
米国歯内療法学会(AAE)
日本歯内療法学会
日本口腔外科学会

一般講演2(教育講演)

Mlコンセプトに基づく審美修復治療
天川 由美子 天川デンタルオフィス外苑前院長(東京都港区開業)

天川 由美子 先生

審美修復治療を計画した場合、20年前であればPFMによるクラウン修復がほとんどであった。しかし、プレスセラミックスやジルコニアに代表される新しい審美修復材料の登場と接着歯学の発展により、修復方法の選択肢は増している。
今や審美修復治療はメタルフリーであるオールセラミック修復の時代となった。

また最近多くの方が、「歯を削らないで綺農にして欲しい」「コンポジットレジンで修復して欲しい」ということを希望し来院される。
すなわち、「歯を綺麗にする」=「オールセラミック修復」ではなく、コンポジットレジン、またはラミネートペニアなどを応用したMIな治療も審美修復治療であり、患者は出来るだけ天然歯を削らない方法を望んでいるのである。
このようなMIな審美修復治療の成功のためには、接着歯学への理解が必須である。そして、予知性を高めるためには精密なステップで処置を行うことも大切となる。

今回、MIコンセプトについて再考し、それを活かした治療計画の考え方をお話ししたい。また接着歯学を最大限に活かすためのコツについて、精密な審美修復治療の実際をご紹介しながら解説したいと思う。

講演風景

略歴

1994年 鶴見大学歯学部卒業
1999年 鶴見大学大学院修了 博士号(歯学)取得
2007年 港区天川デンタルオフィス外苑前 開設
2009年 Women Dentists Club 東日本支部長
2011年 関東歯内療法学会常任理事
2020年 Women Dentists Club会長
現在に至る

所属学会

日本歯内療法学会
日本接着歯学全
日本補綴歯科学会
日本顎咬合学会
日本審美歯科協会
日本臨床歯科医学会(SJCD)
港区麻布赤坂歯科医師会
Women Dentists Club(東日本支部長)
AAE(Asociation of American Endodontists)

招待講演

木も見て森もみる金属アレルギー治療の全て
押村憲昭 かすもり・おしむら歯科院長(愛知県名古屋市開業)

押村憲昭 先生

近年マスメディア・インターネットなどで歯科金属アレルギーなどの報道がなされることも多い。しかし、歯科金属などのパッチテストなどを施行しても、反応が無かったり、陽性金属を置換したりしても皮膚症状が改善しない症例も多数経験する。

歯科金属アレルギー治療といえば、パッチテストを行い陽性金属を除去し、アレルゲンフリーの材料に置換するだけ、ほぼ全ての歯科医師はこう考えている。
なぜなら、金属アレルギー治療の進め方は大学教育でも習わず、関連書籍も非常にすくないからである。つまり、多くの歯科医師は金属アレルギーを訴える患者への正しい対応法を知らないともいえる。

改善しない理由は多岐に渡り、その理由の一つに歯性病巣感染がある。
慢性の歯内疾患、歯周疾患を含むロ腔感染症が原因となり遠隔臓器である皮膚こ症状が発症することがある。
当院でも通常の歯内療法、歯周治療後に掌蹠膿疱症の寛解例を数多く経験している。また、歯科材料が関与していないにも関わらず、皮膚科医との連携が取れていないために本来は外さなくてもよい金属を、パッチテストの結果だけで除去してしまうというケースも多い。残念なことに金属アレルギーという言葉を悪用し患者をセラミックに誘導するケースも近年増えてきている。

「本当に金属アレルギーなのか?Jと疑いの目を持ち、歯科でどのような治療のステップを踏んでいけは患者と良い信頼関係が築けるのか当院の20年以上の臨床からみえてきた治療ステップフローチャートを供覧したい。

この会を通じ皮膚疾患を訴える患者さんへの正しい対応が広まることを望んでいる。

講演風景

略歴

2010年 愛知学院大学 歯学部 卒業
2011年 愛知学院大学 歯学部附属病院 研修医修了
2012年 静岡県 敬天堂歯科医院 勤務
2015年 名古屋市内医院 勤務
2018年 おしむら歯科 勤務
2020年 かすもり・おしむら歯科 開業
現在に至る

所属学会

日本歯内療法学会
日本歯周病学会
日本皮膚免疫アレルギー学会
日本顎咬合学会
日本糖尿病学会

特別講演

皮膚アレルギー診療の新しい流れ
海老原 全 東京都済生会中央病院院長

海老原 全 先生

皮膚アレルギーの分野において、近年のトピックはアトピー性皮膚炎治療の大きな変化といえよう。皮膚科領域では乾癬治療から始まったパラダイムシフトがアトピー性皮庸炎分野においても起きようとしている。
まず、新たに作成されたアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021を紹介する。
ガイドライン2018からの変更点の主なポイントは、新たに使用が可能になった治療薬、デルゴシチニブ、バリシテニブ、デュビルマブの記載が加わった点である。
最近さらに使用できる新薬が認可されており、個々のアトピー性皮庸炎患者の病態を把握し、これら生物製剤、小分子分子標的薬を含め、最適な治療薬をどのように選択、使い分けていくかが求められる時代となっている。
この治療薬の一部を紹介する。

アトピー性皮膚炎は多因子疾患と言われてきたが、やはりheterogeneousな疾患の集合体としてとらえるべきであると考えている。
将来的には細かい分類がなされ、サブグループに適した治療、オーダーメイド治療に進んでいくであろう。
この分類という点については、アトピー性皮膚炎の克服という大きな目標を掲げ行ってきた我々のグループの研究について紹介する。

アトピー性皮膚炎の分類については以前より外因性、内因性アトピー性皮庸炎に二分するという考え方があり、内因性アトピー性皮帆こは金属アレルギーの関与が指摘されてきた。
歯科が扱う金属については皮膚疾患との関連は古くから指摘されており、主に金属アレルギーと皮膚の関係についても振り返る。

講演風景

略歴

1986年 慶應義塾大学医学部 卒業
1986年 慶應義塾大学医学部 皮庸科学教室 入室
国立小児病院、清水市立清水総合病院、東京電力病院出向を経て
1991年 慶應義塾大学助手(医学部皮膚科学)
1993年 慶應義塾大学病院診療科医長(皮庸科外来担当)
1996年 東京都済生会中央病院皮膚科医長
慶應義塾大学兼任講師(医学部皮膚科学)
2005年 慶應義塾大学専任講師(医学部皮膚科学)
2010年 慶應義塾大学准教授(医学部皮膚科学)
2017年 慶應義塾大学病院診療科部長(皮膚科)
2019年 東京都済生会中央病院副院長
慶應義塾大学客員准教授(医学部皮膚科学)
2020年 東京都済生会中央病院院長
2021年 慶應義塾大学客員教授(医学部皮膚科学)
現在に至る

所属学会

日本皮膚科学会
日本アレルギー学会
日本皮膚免疫アレルギー学会
日本香粧品学会

一般口演1

メタルフリーにより改善を示した難治性口蓋粘膜炎の1例

西デンタルクリニック1)、医療法人社団智正会′白川デンタルクリニック2)町田市民病院歯科口腔外科3)西野有紀1)、鵜山真紀2)、木村明菜2)、白川正順2)、小笠原健文3)A case ofrefractory palatal mucositis thatimproved with metal-free treatment

目的

緒言:近年、金属アレルギー患者が増加傾向にある。
金属アレルギーの病態は、装飾品などの金属が皮舟と
接触することにより発症する接触性皮庸炎が知られているが、歯科用金属により口腔粘膜や歯肉あるいは皮膚組織の一部に症状を発症する症例を散見する。
今回、演者らは歯科用金属が原因で発症したと思われる口蓋粘膜斑の1例を経験し、メタルフリー治療によって改善し得たので、若干の考察を加え報告する。

対象と方法

症例 85歳 女性
初診 2021年 5月
主訴:口蓋粘膜の疼病
現病歴ならびに現症:約2か月前より、口蓋粘膜に出血と痺痛を自覚していたが、自然治癒すると考え放せしていた。
ところが、一向に改善せず不安になり来院した。
肉眼所見では右口蓋粘膜に疹痛ならびに発赤を伴う粘膜斑を認めた。
オルソバントモならびにCT所見では口蓋骨には異常を認めなかった。

処置および経過:初診時、含嗽剤とオルテクサー軟5gを処方した。ところが、一向に改善しないため、炭酸ガスレーザーの照射あるいは薬剤投与を施行したが、なかなか治癒せず病理組織検査を行った。
その結果、慢性炎症性病変という結果であった。
金属アレルギーの可能性を考慮して皮甘科にパッチテストを依頼した。
その結果、ニッケル、パラジウムに陽性反応を示した。
口腔には#16、#36,37,38、#46に金属冠が装着されていた。
患者にICした所、メタルフリーを望んだため、これらの金属冠をCADCAM冠に置き換えた。
その結果、約8カ月後、口蓋の粘膜症状は消失し、健康粘膜に改善した。

結果

治療に際し、パッチテストを行った結果、金属アレルギーを所有することが分かり、金属の除去等に対する治療方針が立った○現在、1年6カ月を経過したが、再発は認められない。

考察および結論

考察:

金属アレルギーは金属が何らかの免疫学的機序に働いて,生体に影響を与える結果、惹起される病態である。
歯科用金属を原因とする発疹例は1929年にFleischmannl)の報告に始まり,本邦では1960年に仲井2)がクロムとニッケルによる歯肉炎について報告し、その後、中山3)により、歯科用金属アレルギーによる口腔扁平苔癬ならびに掌蹠膿疱症について症例報告が
なされた。
最近では、歯科用金属アレルギーの報告例が多数みられるようになり4)、その臨床症状は多彩になっている。
自験例では初診時、口蓋粘膜の疼痛を伴う発赤加えて灼熱感など、その臨床症状は天痘瘡などの難治性口腔粘膜炎が疑われ、ステロイド軟書、含嗽剤、あるいは炭酸ガスレーザーの照射など疼痛に対する対症療法などを施行した。
しかし、症状は軽減しては増悪を繰り返すという、一進一退の状態で治療に苦慮したが、口腔内に歯科金属による歯冠修復物の存在を認め、パッチテストを施行した。その括果、パラジウム、ニッケルに陽性反応を認めたため、歯科用金属を除去して、早期にCADCAMによる置換修復を行ったところ、徐々に改善傾向を認めた。
約1年近くを治療に要したが、1年6カ月経過した現在、症状は消失し再発を見ていない。

以上、自験例を通して考察すると口蓋などに多い天疱瘡に類似した難治性口蓋粘膜斑などに遭遇した場合、歯科金属によるアレルギー性の粘膜斑等を疑ってみることも一考と思われた。

結論:

演者らは難治性の口蓋粘膜斑に遭遇し、歯科金属をCADCAMに置換修復して完治した一例を経験したので若干の考察を加え報告した。

参考文献

1)Fleischmann.P. : Zur Frageder Gefahrlichkeitkleunster Quecksilbermengen. Dt.Med.Wscbr.,54:304.1928.
2)仲井厚、皮片アレルギーと口腔粘膜アレルギー:デンタルダイアモンド者。東京。1993.
3)中山秀夫、大城晶子、佐#重臣、他:歯科金属アレルギーによる扁平苔癬の2例について、耳鼻咽喉科、44:239~247.1972.
4)白川正頼、石垣佳希、今井裕 他:金属アレルギー患者における診断・治療法に関する研究. 日歯病学会誌:34:37-41.2015.

-般口演2

蹠膿疱症が疑われたが皮加科との連携が難しかった1例

宮田歯科クリニック
宮田 夏絵,宮田 浩
A cace of suspected pustulosis palmaris but lack of collaboration with a dermatologist Dr. Miyata Oral Suregery and Dentistry.

目的

皮膚科との連携の取れなかった患者を、歯科治療のみで対応した症例の報告。

対象と方法

掌蹠膿疱症が疑われる患者に、パッチテストを勧め、皮膚科との連携を試みたが、患者の意思により、皮膚科との連携を行うことができなかった。また、患者は、強く金属補綴物の除去を希望した。
治療においては、金属除去しても、寛解しない可能性などを十分説明した上で、金属除去を行った。
さらに、慢性炎症が掌蹠膿疱症を引き起こすことを説明し、Per治療、P治療なども行った結果、半年後には手の湿疹はかなり改善した。その後も、慢性炎症が掌蹠膿疱症の一因となる可能性を説明したことから、定期的に歯周病予防治療を行っている。

括果

患者は2年以上皮膚科に通って症状の改善が得られなかったことから、強い不信感を皮膚科に抱いており、皮膚科との連携は得られなかった。
歯科で可能な治療と患者教育を行った。
掌蹠膿疱症と推測される症状は、半年で改善が得られた。

考察および結論

皮膚科との連携は、歯科と皮膚科及び患者の相互の理解が重要である。
皮膚科にパッチテストを依頼したが「掌蹠膿疱症と金属アレルギーの関連性のエビデンスは乏しいので、行う必要性を認めない」という皮膚科からの返事があったことも聞いている。
また、患者が、パッチテスト、その他のテストを受けることを拒絶することもある。
基本的には、患者の意思を無視して治療を進めることはできないため、そのような場合は、歯科で患者教育を行い、治療を行うしかない。
結果、症状は良くなったが、今後、悪化するようなことがあったら、皮膚科との連携の必要を再度、説得しようと思う。
医科歯科連携には多くの課題があるため、議論が必要である。

講演風景

 

展示ブース

企業による多数の展示ブースが設営され、最新の歯科医療器具や情報の展示がありました。

展示ブース 展示ブース

協賛団体・企業様

  • Z-Systems AG (スイス Z- System 社)
  • インテック
  • 株式会社 日本歯科商社